観たかったけど観られなかった映画
『メゾン・ド・ヒミコ』をTV観賞しました。
ゲイである父親(田中泯)を嫌い、その存在を否定して生きてきた沙織(柴崎コウ)は、春彦(オダギリジョー)という若い男から父がガンで余命いくばくもないことを知らされる。春彦は父が営むゲイのための老人ホームで働く、父親の恋人だった。
自分と亡くなった母を捨て、ゲイとしての人生を選んだ父への反発もあって、
メゾンでのゲイの男たちの共同生活に馴染めず、露骨に反感し嫌悪する娘。
そんな微妙な心の距離感と変わっていく様子を、
映画は透明な、淡い色彩をもったようなタッチで繊細に描いています。
ヒミコの若い愛人である美しいゲイの男性を演じたのは、いまをときめくオダギリジョーさん。
死に瀕したヒミコの枕元で「欲望が欲しい」と囁くシーンの切なさ……。
人生の孤独、死への恐怖――根源的なことを見事に凝縮し、
詩的に、そして俗っぽく表現されています。
コミカルな部分もチラチラ見せるのだけど、
ほろ苦い笑いが切ない、大人の映画でした。
ちょっと人にすすめたくなる、じんわりとしたいい映画です。
この人なくしてこの映画は作れなかっただろうと思われる
ヒミコ役の田中泯さんの圧倒的な存在感と、
ゲイの王子様風フリルの白いシルクのブラウスを着たオダギリくんの、
背中から腰にかけての細い華奢なラインが、
きゃーん、どうしたものかと……

なんとも艶かしくて、きれいなの。
閑話休題――ちょっぴりジェンダーな話題↓